「こんな所に救い主が来られた」   08.12.21
                         ルカ2:1〜20

 「世界と人生の肯定。これがクリスマス」(A.シュバイツァー)と
いう言葉と出会いました。クリスマスを表現する素晴らしい言葉の
一つだと思います。
 聖書が描くクリスマスの頃の世界は、美しい愛の溢れた世界で
はなく、権力者が力を振るう世界でした。その時の人々は、出産
間近の若い夫婦に宿を用意することが出来ませんでした。厳しい
現実が、人の心から優しさを奪い去っていたのでしょう。しかし、
そのような世界に神の御子が誕生するのです。神はそのような世界
を拒み捨て去るのでなく、そこに入ってこられたのです。世界は
神不在の世界ではなくなりました。「神はその独り子をお与えに
なったほどに世を愛された」と聖書は語ります。クリスマスが起こった
以上、神に愛され肯定された世界なのです。それを信じる時に、
世界の見え方が変わります。神が見捨てていない世界なのですから、
どんなに厳しい現実が目の前に広がっていたとしても、絶望をしません。
世を愛し肯定してくださる神がおられるのですから、世界に可能性が
あることを信じます。クリスマスに目を注ぐ時、世界に希望の光りが輝いて
いることに気づきます。
 クリスマスの登場人物たちは、そのような世界の中で苦労させられて
いた人たちです。羊飼いも、貧しく苦労していた人たちでした。彼らは、
神の御子と出会って、人生が一変しました。彼らは、み使いによって、
神さまが自分のために救い主を与えてくださったことを知らされました。
 み使いの言ったとおり、飼い葉おけに眠る幼子を見て、彼らは自分
救い主が与えられたことを信じました。
 神が救い主を与えてくださったのは、自分が愛され肯定されているからです。
 また、救い主と出会えたのも、神に愛されているからです。それを知って、
羊飼いは喜び生きる者になりました。
 クリスマスの出来事には、神の「もう心配しないでよい。わたしが、
大切なあなたのために救い主を送った」との言葉が響いています。
 私たちは、今年もそのような御言葉に包まれています。